猫背の原因となる筋肉は一概にコレ、と断言できません。
日常生活などでの体の使い方の偏り、自律神経の乱れなどで筋肉のアンバランスが生まれることにより、猫背という見かけ上の問題が出てきます。
そんな方に「猫背は背中の筋肉が弱くて丸まっているから背筋を鍛えよう」は逆に猫背を助長する可能性が一気に高まります。
1つの筋肉だけではなく、多面的に「猫背」という状態を考えていく必要があるのです。
今回の記事でわかること
- 猫背の方が伸ばしたい筋肉
- 猫背の方が鍛えたい筋肉
- 猫背改善においてマストな筋肉
今回は、猫背の原因となる筋肉を主に2つに分類してご紹介しています。
最後に猫背改善のためにマストなエクササイズもご紹介しておりますので、是非最後までお読みください!
目次
猫背の原因となる筋肉と姿勢のつくられ方
猫背は、私生活が大きく影響しています。
猫背ってどんな姿勢?そもそもの根本原因って何なの?というところについてまだお読みになっていない方は、先にこちらの記事をお読みいただいた方がより理解が深まります。
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長時間の座り姿勢、スマホやPC画面注視での自律神経の乱れ、運動不足などによる前庭感覚や視覚、体性感覚などの体の感覚不全によって体が過度な緊張状態となります。
過度な緊張状態では、体の表層にある筋肉ばかりが働いてしまい、関節を安定させるための深いところにある筋肉たちが働かなくなります。
結果として、頑張り過ぎている筋肉やもっと頑張らないといけない筋肉が出てきて、「見かけ上」で猫背という姿勢になっているということです。
つまり猫背は、ガチガチの緊張状態の現れ、ということです。
さて、ここからはより具体的に姿勢のつくられ方について説明していきます。
姿勢をつくっているのは骨になりますが、筋肉たちがワイヤーのように骨を引っ張り合いっこすることで、骨(骨格)の位置が変わります。
この結果が「姿勢」としてあらわれているわけです。
当然、前後左右上下で引っ張るワイヤー(筋肉)の力に差があればあるほど、骨は力が強い方に引っ張られます。
例えば、コレは巻き肩の改善に必要な腕の筋肉になりますが、2つは対の働きをします。
腕を曲げる動作では力こぶの筋肉が縮み、二の腕の筋肉は緩む構造です。
これが先ほどのワイヤーで引っ張り合いっこしている=伸び縮みしているのと同じ状態、ということです。
今回はあくまで、動かすときの筋肉の伸び縮みについてお伝えしていますが、日常生活などでのあらゆる問題によって筋肉の伸び縮みに差が出てくると、偏った姿勢=猫背になってしまう、ということを理解しておきましょう。
猫背の原因となる筋肉
筋肉のアンバランスで猫背になっているということ、お分かりになりましたか?
そう考えると、猫背は頑張り過ぎている筋肉とサボっている筋肉に分けられる、ということがわかるのではないでしょうか。
これから解説する中では、頑張り過ぎている=伸ばしておきたい筋肉、サボっている筋肉=鍛えたい筋肉、で説明したいと思います。
猫背さんが伸ばしたい筋肉
背中の筋肉
猫背だから背中の筋肉が弱いんじゃないの?
そう思われている方にとっては意外かもしれませんね。
背中のどの筋肉を指しているかにもよりますが、基本的には背中の筋肉が硬くなることで猫背姿勢になってしまいます。
中でも広背筋は猫背以外にも反り腰姿勢などもつくるため、しっかりストレッチしておくべき筋肉の一つです。
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広背筋についてはこちらの記事で解説しております。
広背筋を含め、伸ばしておきたい主要な背中の筋肉はコレらです。
伸ばしたい背中の筋肉
- 広背筋
- 脊柱起立筋
- 腰方形筋
- 僧帽筋(上部)
股関節の筋肉
猫背予防のために伸ばしておきたい筋肉には、意外にも股関節の筋肉も含まれているのです。
理由としては、股関節は骨盤と連動して動くため。
骨盤には先ほどご紹介した伸ばしておきたい背中の筋肉たちがついています。
股関節の動きによって背中周りの筋肉も過度に働きがちですので、猫背を改善するのであれば股関節周りの筋肉も緩めてあげましょう。
伸ばしたい股関節の筋肉
- 大臀筋(お尻の筋肉)
- 大腿四頭筋(太ももの筋肉)
- 大腿筋膜張筋(太もも外側の筋肉)
上半身前側の筋肉
体の前側についている特定の筋肉が頑張りすぎると、背中上部の丸みを強め、より猫背を助長してしまいます。
また、巻き肩などにもなりやすいため、トレーニングなどをしている方は特に注意が必要です。
伸ばしたい上半身前側の筋肉
- 大胸筋
- 小胸筋
- 上腕二頭筋
- 腹直筋
猫背といえば胸の筋肉が硬いと思われがちですが、意外にも腹直筋などの体の表層にある腹筋も猫背の原因となり得ます。
猫背にならないためには「鍛え方」にも十分に注意する必要があるのです。
猫背さんが鍛えたい筋肉
続いては、猫背改善のために鍛えておきたい筋肉についてお伝えします。
サボっている筋肉たちになりますので、頑張り過ぎている筋肉たちとのアンバランスが解消され、骨格の位置が適切に戻ります。
腹筋群
背中や腰回りの筋肉と逆の動きを行うのが腹筋。
腹筋にも4種類あり、猫背を改善して良い姿勢を保つために重要な筋肉です。
腰や背中付近を丸めること、そして、重力でさらに反ろうとする腰回りを反りすぎないように保持する働きがあります。
鍛えたい腹筋群
- 外腹斜筋
- 内腹斜筋
- 腹横筋
この中でも特に重要なのが腹横筋といわれるインナーマッスルの一つ。
腹横筋は腹筋群の中でも最も奥にあり、持久性に優れた筋肉となります。
腹横筋についてはインナーマッスルの章でもご紹介しております。
インナーマッスル
インナーマッスルという言葉を聞いたことはあるのではないでしょうか。
肋骨や骨盤、背骨といった姿勢の土台となる骨たちを繋ぎ、姿勢を安定させるための重要な筋肉です。
特に、猫背の改善に重要な肋骨の位置を整えるために必須の筋肉たちとなります。
これらの筋肉を使うことで、安定した姿勢の土台ができるため、無意識で綺麗な姿勢をつくる手助けとなります。
鍛えたいインナーマッスル
- 腹横筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋
- 多裂筋
また、インナーマッスルは、体の動き始めに関節を安定させて手足を動かすための大きな筋肉たちをスムーズに使う体の土台を提供する役割も担っているので、綺麗な歩き姿勢や疲れない動きづくりにも必須です。
脇〜背中、肩甲骨周りの筋肉
背中や脇、肩甲骨周りの筋肉には、頭の位置を安定させる重要な役割があります。
先ほどお伝えした腹筋群とあわせて鍛えることで、猫背の改善に役立ちます。
鍛えたい脇〜背中、肩甲骨の筋肉
- 前鋸筋
- 僧帽筋(下部)
- ローテーターカフ筋群
猫背の改善にはまずどうすれば良い?
猫背の原因となる筋肉についてご紹介しましたが、伸ばしたい筋肉があれば鍛えたい筋肉もあります。
猫背を改善するためにまずやりたいことは「腹筋が使えるようになること」です。
腹筋が使えないと骨盤も肋骨も安定しないため、コレがクリアできなければ猫背の改善は難しいと言えるでしょう。
でも、股関節や背骨の動きが硬いせいで腹筋が使えない、背筋が硬すぎて腹筋が使えないという方はたくさんいらっしゃるはずです。
猫背に限らず、姿勢が崩れている多くの方は、同時にさまざまな部位の問題を解消しなければならない体の状態になっていることがほとんど。
そのため、同時に筋肉のアンバランスを解消できるような複合的なエクササイズを選択する必要があります。
RPSで推奨している同時に筋肉のアンバランスを解消するエクササイズ例を1つ挙げますので、まずコレから取り組んでみてください。
こちらの記事にそもそも自分が猫背になっているのか、姿勢が崩れているのかをチェックする項目と正しい姿勢の基準についてご紹介していますので、エクササイズ前後で比べてみましょう。
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まずは、1つのエクササイズで効率よく体のアンバランスを整えていく、そして腹筋を支える体の状態にすることが猫背を解消する第1歩となります。
猫背の原因となる筋肉のまとめ
猫背は日常生活などからのさまざまな要因による筋肉のアンバランスによってつくられます。
それら猫背の原因となる筋肉には、伸ばしたい筋肉と鍛えたい筋肉に分けられますが、基本的には体の状態を同時に変えることができる効率的なエクササイズを選択する必要があるのです。
まず第一段階としてのゴールは、「腹筋が使えるようになる」こと。
腹筋が使えなければ、姿勢の土台となる骨盤と肋骨、背骨が安定しないためです。
今回ご紹介した1つのエクササイズをまず実践することが、猫背改善の第一歩となりますので、まずはチャレンジしてみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
パーソナルトレーニングRPS代表。
トレーナー歴10年目、姿勢改善で体の本質を変えるパーソナルトレーナー。
年間1,000本以上のパーソナルレッスンの経験を生かし、呼吸と動作パターン改善のエクササイズによって行うボディメイクと機能改善を軸に活動中。
【保有資格】
・NSCA-CPT
・FMS-Level1,2修了
・EBFA-BTS,FSFM
・栄養コンシェルジュ1ッ星、2ッ星
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